なんでも屋

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辻さんの顔はクラスの中でも可愛い方だ。だが、この男勝りの性格が災いしてか、未だに男と付き合ったことはない。 辻とは中1、3と同じクラスになったことがある。入学してすぐ、悔しくも僕は辻さんに一目惚れしていた。辻さんのあの性格を知ったのは一目惚れをした次の日。 僕の恋心は1日で宇宙の彼方へと飛んでいってしまった。 僕は気が小さく、女っぽかったからか、事あるごとに辻さんから、「もっとワイルドになれよ」と言われていた。 だから僕は辻の事があまり好きではない。 「じゃあ僕急いでるから!!」 これだけ言うのが精一杯だった。 「ちょっと待て!言いたいことが…」 辻さんが追いかけてくるがお構いなしに走って逃げる。女子と男子ではもともと運動能力が違う。これだけは僕が辻さんに勝てる唯一の事だと思っている。 「はぁ、はぁ、はぁ、」 しばらくして後ろを見ると、辻さんはもう追ってきてないようだった。 咄嗟だったから気が動転してしまったけど、何もここまで逃げることはなかったと今更ながらに思った。そして話だけでも聞いてあげればよかったと後悔した。
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