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ですが、勇者や仲間達にとって温厚な魔王が妬ましくなり……
やがて魔王を一方的に逆恨みし、恐ろしい計画を立てる事になったのです。
数年後、勇者一行が魔界に訪れたので魔王は歓迎し……それはそれは……盛大な宴となりました。
魔王はすっかり気を良くし、勇者一行に部屋に来るように呼ばれ……
共を連れずに、魔王は一人勇者一行が待つ部屋へ行ってしまったのです。
魔王と共に魔界で尽力していた魔導士は、何やら胸騒ぎを感じて部屋に戻っても眠れずにいました。
「魔王様……大丈夫でしょうか?」
パジャマ姿のラゼルは、ベッドから起き上がると落ち着きなく辺りを見回す。
…………宴の後の勇者一行達……魔王様を恐ろしい目で睨んでいた……
……それに隠していたが……勇者一行から殺気も感じました……
まさか……
ラゼルは、慌てベッドから降りると部屋から飛び出して走り出す。
その頃、部屋に来た魔王の目の前には……
想いを寄せている大剣を構えた勇者と……
一緒に苦楽を共にした仲間の神、エルフ、悪魔、天使達が殺気を放ちながら自分を睨み付けていた。
「魔界を平和に導いてくれた事には感謝するよ……でも、君は僕達を差し置いて目立ち過ぎた。君は所詮勇者である僕の影であるべきだったんだ」
勇者は、不敵に笑みを浮かべ魔王に言う。
「我が……お前の影?何を意味わからぬ事を……我はお前の唯一無二の親友であり仲間ではないか……」
魔王は、勇者の変貌ぶりに驚き、苦笑しながら勇者に言う。
「魔王を親友や仲間だなんて一度でも思った事は無いよ」
冷たく冷めた眼差しで勇者は魔王に言い放つ。
「っ……そんな……」
ショックを受け魔王は動揺してしまい、僅かに後ずさった。
「同じ悪魔でも、魔王は別だぜ」
シュオオオッ
クスクス笑って悪魔は左手に魔力を溜めて行く。
「魔王は勇者一行に退治されるって決まっているんだよ」
キリリリッ
弓矢を構え、魔王に狙いを定めながらエルフも愉しそうに笑みを浮かべた。
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