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……厄介ですね。敵は森の中から私の位置を正確に把握して遠距離攻撃して来ます。
……いくら弱い魔法でも、喰らい続ければ体力を消耗してしまうのは当然……
……ならば、その前に悪魔を討てば良いだけのこと……!!
魔族や悪魔と闘い慣れてるので、クレイスは余裕の笑みを浮かべながら魔力の気配を辿り走り抜ける。
木々を掻き分け、ひたすら森の中を走っていたクレイスは……
ついに、森の広場へやって来た。
広場に背を向け、静かに佇んでいる長身の青年が見える。
……なんだ……この魔力は……
漆黒のように黒いマントを着ており、髪も黒髪で肩まである長さ、纏う魔力が強大でクレイスは思わず怯み後ずさる。
「だから来るなと言ったであろう。ただの人間には我の放つ魔力は強すぎる」
青年は、クレイスに振り返ると切れ長で紅の瞳を鋭く細め淡々と言い放つ。
…………紅の瞳…………まさか……いや、そんな訳無い……
クレイスは冷や汗を掻いて青年を見詰める。
「我が名は、魔王セシア。最後の忠告だ。今ならまだ見逃してやろう。我の前から消えよ」
青年……魔王セシアがクレイスに忠告する。
「やはり……紅き瞳の魔王セシア……まさかこんな小さな港町の森で貴方に出会えるとは……」
恐怖する自分の気持ちを落ち着かせ、クレイスは強気に笑みを浮かべるとセシアに大剣を突き付ける。
「貴方が魔界から姿を消したせいで、魔族と数多の種族との戦乱が再び到来してしてしまった」
「如何なる理由があろうとも、戦乱で奪われた命は数知れない。ここで貴方を倒し、報いを受けてもらう!!」
大剣を振りかざすと、クレイスはセシアに斬り掛かる。
「……話しても分からぬとは……馬鹿な奴だ。勇者は何百年経っても馬鹿が多いな」
セシアは溜め息をつくと、左手を上に上げた。
バキバキバキッ
周辺の木の枝が伸び、クレイスの四肢を拘束する。
「っ!!卑怯なっ!!私の動きを封じるなんて……貴方は正々堂々と闘う気は無いんですか!?」
拘束されたせいで大剣を落としてしまい、クレイスは身動きできずセシアを睨み付け叫ぶ。
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