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「馬鹿は良く吠えると言うが……本当だな、良く馬鹿みたいに吠える」 セシアはクレイスの前に近付くと、クレイスの顎を掴み上に上げる。 「っ……!!さっきから馬鹿馬鹿って貴方失礼にも程が有りますよ!!」 馬鹿にされ、クレイスは顔を真っ赤にさせ文句を言う。 「自分の置かれている状況が理解できてぬ様だな……」 フウ~と溜め息をつくと、セシアは軽く両手を空に上げる。 ギギギギッズアアアッ 木々の枝が伸びて交差するように編み込んで行き、クレイスとセシアを包み込むドーム型に変わった。 「これなら雨も凌げよう。勇者の癖に世間知らずで無知な貴様に、この我が直々に思い知らせてやる」 クスッと笑みを浮かべると、クレイスを見詰めセシアは微笑する。 セシアの様子にクレイスは怯え青ざめる。 降り頻る雨の中、今宵の邂逅と狂喜の宴が幕を開けるのだった。
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