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1時間後、弄ばれた冬華の隣で白井が言った。
「前から君のことが好きで仕方なかった。もちろん妻のことも好きだから、離婚する気はないが、君にも付きまとう。」
冬華にとって、氷のように冷たい言葉だった。
今の白井には、会社で見せる優しさの欠けらもなかった。
冬華は茫然とし、泣くことも出来なかった。
自分に襲いかかった運命を理解することすら出来ないでいた。
「冬華、君は処女じゃなかったんだね。そうだよね、男がほっとかないよね。」
白井は、さらに無神経な言葉を浴びせかける。
「君、綺麗な身体してるね。今付き合っている人はいる?」
(この人は、こんな人だったんだ…。)
冬華は、悔しさを堪えるしかなかった。
「答えないつもりだね。そういう怒っている君も可愛いよ。」
冬華の気持ちを逆なでするように、白井は、また冬華の身体をゆっくりと触り始めた。
「やめて下さい…。」
やっとのことで、そう言った冬華の声は、上司と部下であるという思いのもとに、か弱くか細いものとなっていた。
「嫌がれば嫌がるほど、抱きしめたくなるね。」
強い腕で押さえつけられたまま、
「君は、訴えることなど、出来ない。優しいからね。」
そう言った白井の顔は、冬華を威圧するように凝視していた。
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