第1章

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1時間後、弄ばれた冬華の隣で白井が言った。 「前から君のことが好きで仕方なかった。もちろん妻のことも好きだから、離婚する気はないが、君にも付きまとう。」 冬華にとって、氷のように冷たい言葉だった。  今の白井には、会社で見せる優しさの欠けらもなかった。  冬華は茫然とし、泣くことも出来なかった。  自分に襲いかかった運命を理解することすら出来ないでいた。  「冬華、君は処女じゃなかったんだね。そうだよね、男がほっとかないよね。」  白井は、さらに無神経な言葉を浴びせかける。  「君、綺麗な身体してるね。今付き合っている人はいる?」 (この人は、こんな人だったんだ…。)  冬華は、悔しさを堪えるしかなかった。  「答えないつもりだね。そういう怒っている君も可愛いよ。」  冬華の気持ちを逆なでするように、白井は、また冬華の身体をゆっくりと触り始めた。  「やめて下さい…。」  やっとのことで、そう言った冬華の声は、上司と部下であるという思いのもとに、か弱くか細いものとなっていた。  「嫌がれば嫌がるほど、抱きしめたくなるね。」  強い腕で押さえつけられたまま、  「君は、訴えることなど、出来ない。優しいからね。」  そう言った白井の顔は、冬華を威圧するように凝視していた。
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