第1章

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仕方なく帰宅した冬華は、つまんなそうにただ、ぼんやりとソファに腰かけていた。  そんな時間を十数分過ごしたか否か、携帯電話が鳴った。  着信の名を確認すると、啓斗だった…。  冬華は、啓斗とはもう会わないつもりでいたが、寂しさのあまり、心に迷いが出てしまい、危うく受信するところだった。  そのうち、着信音は止まった。  「啓斗…ほんとは会いたいよぉ…。」  ひとりごとを言いながら、クッションに顔を埋める冬華だった。  しかし、それから1分も経たないうちに、再度、ベルが鳴った。  今度はすぐに電話を受け、  「啓斗?」  「…。」  電話の相手は、友博であった。  「冬華さん…。」  「あ、芳川さん…。」  「冬華さん、まだ啓斗さんと付き合っているんですね。」  「え?あ、いえ…。」  冬華と啓斗の関係は、友博も周知のことだった。  知っていて、いや、知っていたからかも知れない、友博が冬華に猛烈にアタックしていたのは…。  
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