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「僕は、冬華さんがどうしても僕のことを向いてくれないのなら、いつかきっと、啓斗さんが二股を止めてくれると信じたかった。でも、違いますよね。彼はまだ、こずえさんとも付き合っている…。それくらいは知ってますよ。彼はちっとも、こずえさんと別れないじゃないですか…。なのに、なんで冬華さんは、そんな関係を続けるんですか。」
「違うの、啓斗とはもう会わないことにしたの。」
「けど、今慌てて電話取りましたよね?待っていたかのように…。」
「ちょっと…。」
と言いかけて冬華は、少し間を置いたが、
「あなたに責められる筋合いはないわ!関係ないでしょ、ほっといて!」
「…。」
「…あ、ごめんなさい、これじゃ逆切れね。」
「いえ、僕の方こそ出しゃばってすみません。…だけど、やっぱり冬華さんのこと心配で、ほっとけないですよ…。」
「世話の焼けるお姉さんで、ごめんね。」
「僕は、あなたのこと、お姉さんという目で見たことはないですよ。いつだって、一人の女性として意識しています。」
「芳川さん、そんなこと言わないで…。年下のあなたに頼ってしまいそうになるじゃない…。」
「いいじゃないですか、頼ってしまえば。」
「だめよ。…もう眠いから切るわ。心配しないで、あなたも寝て。お休みなさい。」
冬華は、強引に電話を切ってしまった。
そして、ひとつ溜め息をつき目を閉じて、強くクッションを抱きしめるのだった。
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