第1章

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「冬華さん、僕はあなたを守りたい。あなたを苦しめる全ての事から。」  「…芳川さん…私はそんな立派な人間じゃないって、分かっているでしょう…?どんどん、汚れていってしまっているのよ…。あなたには他に、素敵な人が見つかるわ…。」  「僕は、あなたがいい。」  「私には勿体ない…。」  そう言ったところで、玄関のインターホンが鳴った。  「ちょっと、待って…。」  ドアを開けると、啓斗であった。  「啓斗…。」  「え?芳川!!なんで?」  「冬華、どういうこと?俺と付き合ってるんじゃないの?」  「違うの、啓斗。芳川さんは倒れた私を助けてくれただけなの。」  「啓斗さん、ちょうど良いからハッキリさせましょう。」  「なんだよ。」  「二人とも、やめようよ。」  「冬華、俺たち付き合ってるんだって、言ってやれよ。」  「啓斗さん、調子良すぎますよ。こずえさんに振られたからって、冬華さんが自分の彼女と決まったようなこと言うなんて。」  「違うのかよ。冬華、どうなんだ?」  「あ…あの…啓斗…ごめん。私、あなたと付き合っていく自信がないの…。」  「は?そうなのか?だからって、すぐに芳川に鞍替えかよ!」  啓斗がそう言うか言わないうちに、芳川の拳が啓斗の右頬を殴っていた。  「きゃあ!!やめて!」  冬華は思わず、啓斗を抱き起こしていた。  「冬華さん…。」  「芳川さん、ごめんね…。私、もう何が何だか、訳が分からないよ…。」  「2人とも、申し訳ないけど…今日のところは帰ってもらえるかな?」  2人が出て行った1人きりの部屋で、冬華は、何の気力もなく茫然としていた。  が、それから時間が過ぎて・・・。
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