第1章

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ー 2週間後 ー あの商店街の出来事から2週間が経つ。 あたしは何をやっているんだろ。 あたし尾崎 唯はせっかく巳島くんから電話番号を聞いたのに一度も電話出来ていない。 あんな泣き顔を見せてしまったのだから。 絶対に巳島くんに気付かれているだろう。 それがどうしようもなく恥ずかしく自分から電話を掛けられないでいた。 ちゃんとお礼も言いたいしちゃんとアピールしたい。 浩くんに急かされた言葉が蘇る。 「誰かに取られちゃうよ」 その言葉が頭の中で繰り返された。 皆は巳島くんの魅力にまだ気付いていないだけなんだ。 学校では無口だけど、実は本当に優しくて私生活友達の前ではあんなに可愛い笑顔で笑う。 前髪で隠れているけど、実はイケメンだし。 そんなことを考えると未だに電話出来ていない自分が情けなくて仕方がない。 誰にも取られたくない。 せめてあたしの気持ちを全部ぶつけて後悔のない失恋がしたい。 いつからこんなに巳島くんのことばっかり考えてしまうようになったのかな。
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