第2章:導きの乞え

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(僕をめでたく解放してくれたら、面白いものをみせてあげられるよ。どうだい? 君の力を使ってこれを解いてくれ)  ゆさゆさと体を揺すって外してくれとアピールしてくれるが、俺にコレを外す力はあるだろうか? (難しい顔してないで、やってみなよ。まずは鎖を両手で掴んでみる)  言われた通り、渋々と掴んでみた。 (次に目を閉じて、一心に念じるんだ。鎖が千切れるように。バラバラに砕け散るイメージでもいい)  母さんよりも分かりやすい指導に頷きながら、心の中で念じてみる。 「砕け散る……。鎖がキレイに砕け散ってなくなってしまう」  持っていた鎖がフニャっと柔らかくなった手ごたえを感じ、目を開けてそれを見てみた。 (ああ……君のもつ力が膨大すぎて、制御できないのか。凄いな……。そのまま左右に引っ張ってごらん)  飴細工のように柔らなくなった鎖が、びろーんと伸びてから力なく千切れる。自分がイメージした通りにならなくて、正直不満だ。 (……やっと自由になった。はーっ、空気が美味しい)  鎖から解放された幽霊は、呑気に大きな伸びをしている。
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