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僕はどうしてこうなったのか分からなかった。
部屋には胸から血を流し倒れている星谷さんと。
彼女を見下ろしている水口さんがいた。
彼の手には血がべっとりとついていて、星谷さんの血が床に大きく広がっていく。
事務所の窓から西日が眩しい程部屋を朱に染めていた。
だから、彼女の血が本物に見えなかった。作り物のような疑似感を感じた。
けれど、星谷さんが人形のように動かない姿を見ていて動悸が速くなっていく。鉄臭い血の匂いが部屋に広がっていく。
「…な、ず…な」
隣で俺と立ち尽くしていた継さんが掠れた声を絞り出した。
どうしてこうなったのだろう。俺は怖くって星谷さんから目を反らし床を見た。
どうして。
どうして。
俺はただ望んだだけ。
どうしてこうなったのだろう。
何がいけなかったのか。
彼等が双子だからか。
星谷さんが一人だからか。
継さんが戻ってきたからか。
それとも。
自分の存在がいけなかったのか。
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