だって、許せないでしょう?

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女性はヒールの音をカツカツと響かせながらソファに座った。健の入れたお茶を一口入れながら、目の前に座る星谷と水口を見比べた。 「子供のように見えますけど、俺達ちゃんとした人なんで」 ちゃんとした人とはどの定義まで入るのか健は積み重なっている本と水口が使ったであろうキッチンの残骸を見た。客がいなくなれば健はキッチンの片付けをしようと静かに決めた。 「……最近、変な物見るんです…」 「変な物?」 女性はどう言えば良いのか迷っているようだった。黒いモヤは相変わらず消えない。結界を張っている事務所までついてくる黒いモヤ。健は女性の違和感を感じていた。 「…たまになんですが、し、死体を見るんです…」 女性の言葉が言い終わる瞬間、彼女背後に首吊りの人間が現れ消えた。 彼女は気配を感じ取ったのか振り返った。 だが、首吊りの人間はもう消えていた。 「今のが?」 水口は目を大きく見開き、口をぽっかり開けていた。星谷も瞬きを繰り返している。いきなりすぎて良く見えなかった。それが二人の感想のようだ。 「はい……私だけじゃなくって…周りも見えるみたいで…」 「周りもですか?」 「…はい、職場、家、場所関係無く見えるんです…何でなのか、何かに憑かれているのか不安で…」 女性は青ざめながら俯いた。常に気にしているのだろう。音がする度に彼女は肩を震わせた。
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