第1章

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あまり思い出したくもない名前だった。 そのくらい、いい思い出がない。 連絡も、着信拒否にして、メールも受信拒否にした。 (もう私は今更話す事なんて何もないんだけどな・・・) そんな事をぼんやりと考えていた。 「ね~!ちょっと学校内を少し探検しよーよ!ねっ!?ね~!?」 佐奈なりの気遣いだった。 正直、あんまり乗り気じゃなかったけど、気遣ってくれているのが分かって、 「そうだね。そうしよっか。」 と返事をして、とりあえず教室から出る事にした。 ハーフっぽい感じの人は、走ってきた女の人と、他の男の人と談笑していた。 半分はハープっぽい感じの「こーきさん」、あと半分は「亮」の事で頭の中がいっぱいになっていた。 佐奈と廊下に出ると、まだ少し寒さがあった。 「広~!!奥にどんだけ教室あるんだろ~!?」 本当にかなり広かった。 佐奈はクルクル踊るようにしながら、 「こんな感じで歩いたりしてても、人が避けてくれそうだよねー!」 なんて会話をしながら、ゆっくりと廊下を歩いていた。 「あ・・・佐奈・・・何か前から人が・・・。」 「えっ!?」 と佐奈が言った瞬間に、ぶつかってしまった。 軽くぶつかっただけだったので、佐奈は倒れずに済んだ。 「あ・・・すみませ・・・。」と佐奈が言いかけて上を向いた瞬間に、佐奈も私も言葉を失ってしまった・・・。
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