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「朝から騒がしいな、また緩井がやらかしたか?」
「あ、和也おはよ。聞いてよ、緩井君ったら今月も家賃が払えないって言うんだよ」
「おはよ。そうなのか?緩井」
顔を見合わせたまま無言で頷くと、和也はひとつ大きな欠伸をしてから“それはやらかしたな”と笑った。
「ねえ、笑ってないで和也からも注意してよね」
「まあ落ち着けよ。この前の依頼はどうなったんだ?」
“解決はした”と里紗の顔は見ないようにして答える。それとほぼ同時に、深い溜息が聞こえてきた。
「……解決はしたけど、希望通りではなかったんだ。例えばさ、注文した料理と違うものがきたら誰だって店員に指摘すると思うんだけど、それで店員に料理は料理ですからって言われたらクレームつけるだろ?この前の依頼はそんな感じだったんだよ」
まるで正論を言い切ったかのような顔に苛立ちを覚えたのか、里紗は舌打ちをすると“意味わかんない、私もう寝るから”と吐き捨てるように言い、緩井の部屋から出ていった。
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