23.消えない表情(かお) 

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……鴨ちゃんが死んだ……。 覚悟していたはずなのに心は思ってた以上に正直で、 お別れの葬式まで踏ん張った直後、私は崩れ落ちてしまった。 花桜はあの日以来、行方知れず。 必死に探すものの、見つかる気配はなく、 毎日、記憶を取り戻した舞が私の部屋を訪ねてきてくれた。 「瑠花、入っていい?」 舞の声を受けて、ゆっくりと布団から這い出すと、 襖をゆっくりと開いた。 「はいっ、今日のご飯。  やっぱり向こうで食べるの嫌でしょ」 「……うん……」 舞の言葉に素直に頷いた。 あの人たちは……鴨ちゃんを殺した人だから。 どれだけ鴨ちゃんが礎になることを望んだとしても、 人、一人の命を奪った人だから……。 そんな人たちと一緒に生活はしてたくないよ。 かといって、 ここから飛び出す勇気もない。 だから……何も出来ない。 食欲はないものの、舞が作って来てくれたもの 食べないわけにもいかなくて少しだけ食事に手を触れる。 ご飯に味噌汁。 お漬物に焼き魚。 たったこれだけの食事なのに私たちの世界みたいに、 パスタや、ハンバーガー、中華料理にフランス料理。 そんなにいろんな食文化があるわけじゃないのに、 ただこれだけの素朴な食事がこの時代では とても大きいものだと言うことも今の私は知ってる。 憎むべき存在に養われないと生きていけない現実。 そんな苦い現実を噛みしめながら、舞と二人食事をすすめた。 「ねぇ……。  舞……花桜どこ行ったと思う?」 小さな声で呟く。
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