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はっとした様子で顔を上げた希望の天使は、近づいてくる魔物を見据えて息を吸った。
「皆逃げろ!!」
叫ぶのと同時に光の盾を作り出す――…だが。
そこに現れたのは、盾と呼ぶにはあまりにも薄い壁が1つだけ。
動揺からミカエルの動きが一瞬鈍った。
壁の手前までやってきた魔物は、先ほどまでアナエルの身体を掴まえていた腕を振り上げる。
ぱりん。
「なっ、……ぐ、ぅ」
腕の一振りで壁は叩き壊され、その反動に呻く。
そんな状態のミカエルが次の標的になるのは、ある種必然だった。
「ミカエルっ!!!」
「……!」
「ダメだ来るな!!――カマエル、2人を頼む!」
こちらに駆けてこようとする子供の姿の天使たち。
声が玄関前に響くのと同時にザドキエルとラファエルの腕を掴まえ、カマエルは床を蹴った。
だが、いつもの速さはそこにはない。
カマエルは舌打ちを1つ打ち、廊下を駆けて視えなくなった。
モンスターの勢いから考えれば、本調子ではないうえに戦うことが苦手な2人を連れたカマエルはあっという間に追い付いかれてしまうと思う。
敵が自分に集中してくれていてよかった。
わずかに安堵を覚えた彼は――だが、おろおろしているもう1人の天使にそのとき気が付いた。
次の瞬間、大天使へ向け、魔物は両腕を振り上げた。
め し ゃ っ … …
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