9人が本棚に入れています
本棚に追加
聖剣たちが動くのと同時に、魔王たちも動いていた。
ルシフェルは一瞬だけミカエルを見、その視線を屋敷の内へと向かう廊下へ向ける。
やけに身体が重い気がするのは気のせいだろうか。
けれど妙な不調にかまけている暇は、今の彼らには存在しないのが現状。
「ハンス。敵の能力もわからない今、ヘタなことをするのは危険です。どこかに身を隠しましょう」
「えっ――は、はい!」
複雑そうな顔をする嫉妬へ告げる。
屋敷の奥へと進む廊下を駆けながら、そして彼らは背後で壁が割れる音を聞いた。
僅かにルシフェルの瞳が見開かれたが、振り返ることなく廊下を駆けていく。
「憤怒、わかっているな!!」
「あ、あぁ!」
頷いて、サタンは傍らに立っていた青色に手を伸ばす。
けれど、ベルフェゴールはぬるりとその手をすり抜けた。
履いていたブーツを脱ぐのと殆ど同時に、足元の何かをひょいと抱え上げサタンへぶん投げる。
「え、え、ちょっ――危ねぇ!」
「やあああ、……あぁあぁあ……あ、あれ?」
思わずキャッチしてしまったサタン、されてしまったガブリエル。
少し前の方に立った強欲は、振り返って目を見開いた。
「たい、」
次の瞬間。
ミカエルへ迫っていたモンスターの頬へブーツが文字通りめり込んだ。
→
最初のコメントを投稿しよう!