ChapterⅠ___Ⅱ

3/10
前へ
/40ページ
次へ
聖剣たちが動くのと同時に、魔王たちも動いていた。 ルシフェルは一瞬だけミカエルを見、その視線を屋敷の内へと向かう廊下へ向ける。 やけに身体が重い気がするのは気のせいだろうか。 けれど妙な不調にかまけている暇は、今の彼らには存在しないのが現状。 「ハンス。敵の能力もわからない今、ヘタなことをするのは危険です。どこかに身を隠しましょう」 「えっ――は、はい!」 複雑そうな顔をする嫉妬へ告げる。 屋敷の奥へと進む廊下を駆けながら、そして彼らは背後で壁が割れる音を聞いた。 僅かにルシフェルの瞳が見開かれたが、振り返ることなく廊下を駆けていく。 「憤怒、わかっているな!!」 「あ、あぁ!」 頷いて、サタンは傍らに立っていた青色に手を伸ばす。 けれど、ベルフェゴールはぬるりとその手をすり抜けた。 履いていたブーツを脱ぐのと殆ど同時に、足元の何かをひょいと抱え上げサタンへぶん投げる。 「え、え、ちょっ――危ねぇ!」 「やあああ、……あぁあぁあ……あ、あれ?」 思わずキャッチしてしまったサタン、されてしまったガブリエル。 少し前の方に立った強欲は、振り返って目を見開いた。 「たい、」 次の瞬間。 ミカエルへ迫っていたモンスターの頬へブーツが文字通りめり込んだ。 →
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加