英霊の盾

5/6

68人が本棚に入れています
本棚に追加
/106ページ
「これはライス?ナイフとフォークは?」 彼女達は二本の木の棒で器用に挟んで食べている。 私は見よう見真似で木の棒を持つが挟めず、 仕方なく刺したりよそったりてライスを食べる。 「フゥ~飯が筋肉に生まれ変わってイくぜ~」 「だからお兄ちゃん! ご飯にプロテインふりかけたり、 ドーピングを味噌汁に混ぜるの辞めて! リュミエル姫が誤解するでしょ!」 自分だけ二本の棒が使えず行儀悪い気になっていたのだが、 どうやら彼女の兄はもっと行儀が悪かったらしく、 少しホッとした。 味噌汁とか言う変な色のスープも美味しく、 焼いた魚も野菜も悪戦苦闘しながら頂けた。 すると小さな悪魔の獣が、 テーブルの淵に掴まり顔を覗かせた。 「風呂に入って腹拵えもした様ね。 で、此処からが本題! あんたがクーデター失敗して酷い目遭ったのは、 要は全部神のせい! あんたもあたしと契約して魔法少女なれば、 クーデターも成功して余計な犠牲無くなるし、 こっちの便利で平和な暮らしも出来るわ」 成る程、 これが悪魔の誘惑か、 神が与えし試練に比べてなんと魅惑的な事か。 「私に魔女になって欲しくて、 ひたすら飴を与えてみたのか。 確かに悪魔の誘惑は甘美だが、 私は神のせいにせず、 自分の意思で苦しみに打ち勝ちたい。 それが死んで行った英霊達への手向けになり、 屈しない盾ともなるから」 「くっ!なんと言う誇り高い信念!? なら元のリョナ牢獄に戻りなさい」 「でもあんなファンタジーリョナは酷いよ! 看守長に卵生み付けられちゃうだなんて」 「じゃあこれも何かの縁だし、 少しは罰を軽減してあげるわ。 あの触手看守長は、 あたしの配下の乱交を司るバフォメットの眷属だったし、 蚩尤とドワーフが作った超光速欺瞞霊符を豚の生き血に配合して彫り込んだ、 対聖結界も悪魔のあたしには効かないし」
/106ページ

最初のコメントを投稿しよう!

68人が本棚に入れています
本棚に追加