68人が本棚に入れています
本棚に追加
/106ページ
「これはライス?ナイフとフォークは?」
彼女達は二本の木の棒で器用に挟んで食べている。
私は見よう見真似で木の棒を持つが挟めず、
仕方なく刺したりよそったりてライスを食べる。
「フゥ~飯が筋肉に生まれ変わってイくぜ~」
「だからお兄ちゃん!
ご飯にプロテインふりかけたり、
ドーピングを味噌汁に混ぜるの辞めて!
リュミエル姫が誤解するでしょ!」
自分だけ二本の棒が使えず行儀悪い気になっていたのだが、
どうやら彼女の兄はもっと行儀が悪かったらしく、
少しホッとした。
味噌汁とか言う変な色のスープも美味しく、
焼いた魚も野菜も悪戦苦闘しながら頂けた。
すると小さな悪魔の獣が、
テーブルの淵に掴まり顔を覗かせた。
「風呂に入って腹拵えもした様ね。
で、此処からが本題!
あんたがクーデター失敗して酷い目遭ったのは、
要は全部神のせい!
あんたもあたしと契約して魔法少女なれば、
クーデターも成功して余計な犠牲無くなるし、
こっちの便利で平和な暮らしも出来るわ」
成る程、
これが悪魔の誘惑か、
神が与えし試練に比べてなんと魅惑的な事か。
「私に魔女になって欲しくて、
ひたすら飴を与えてみたのか。
確かに悪魔の誘惑は甘美だが、
私は神のせいにせず、
自分の意思で苦しみに打ち勝ちたい。
それが死んで行った英霊達への手向けになり、
屈しない盾ともなるから」
「くっ!なんと言う誇り高い信念!?
なら元のリョナ牢獄に戻りなさい」
「でもあんなファンタジーリョナは酷いよ!
看守長に卵生み付けられちゃうだなんて」
「じゃあこれも何かの縁だし、
少しは罰を軽減してあげるわ。
あの触手看守長は、
あたしの配下の乱交を司るバフォメットの眷属だったし、
蚩尤とドワーフが作った超光速欺瞞霊符を豚の生き血に配合して彫り込んだ、
対聖結界も悪魔のあたしには効かないし」
最初のコメントを投稿しよう!