大江戸サイバーパンク・リロード

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大江戸サイバーパンク・リロード

公儀隠密である御庭番衆の、 新入り忍者紫電の新蔵は、 時の老中田沼意次に江戸城内に呼び出された。 「老中お呼びで御座いますか?」 「うむ、最近平賀源内なる蘭学者が、 怪しげなからくりで城下の者たちを誑かしておる。 何でも網世界なる、 エレキテル仕掛けの異世界だそうだ」 「えっ?それは如何なる事で御座いまするか? まるでよく解りませぬ。 その様な難しいお務め、 私の様な新参者にはとても・・・・」 「わしもよく分からぬ上に、 他の御庭番達も理解出来なんだ。 しかしそちは一番若い故に、 一番飲み込むのも早かろう。 探って参るのじゃ」 「ははぁ・・・・」 自信の無い返事をしながらも、 新蔵は物乞いに化けて情報収集し、 普通の客のフリをしてからくりを埋め込ませ、 網世界に入る事が出来た。 『なんと奇怪な世界!世を乱すのも無理は無い。 平賀源内が潜む本丸に忍び込むか』 『わあ源内先生!怪しげな忍びが来たよ!』 『落ち着き給え町太くん。 ここでは上様、いや神に等しい私に逆らうとは』 しかし若くとも忍、 新蔵は炎の壁も追っ手も飛び越え、 平賀源内の元に辿り着いた。 『世を乱す平賀源内覚悟!』 『まあ待て、この網世界は現世で苦しむ物達の極楽。 お前もここでは忍びの頭としてやるぞ。 なので幕府の情報も探るのだ』 こうして新蔵の、 二重隠密生活が始まった。
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