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僕の彼女の話をしよう。
級友にこの手の話題を切り出そうとすると決まって苦い顔をされるのだけども、期末テストの余った時間を何に費やそうと誰も文句は言わないだろう。
芳しくない点数については後日、両親や担任教師から苦情もとい苦言を呈されそうではあるが、今夜死ぬかもしれないのだからどうでもいい、というのが本音である。
僕の彼女のは魔法少女だ。日夜、他の魔法少女と死闘を繰り広げている。
何の為に?
愛するモノの為に。
彼女の小さな背中には宿見市の命運がコバンザメのように貼り付いている。
あるいは爆弾、と言い換えてもいいだろう。
守備範囲が狭いと笑われるかもしれないが、それはひとりの少女が背負うにはあまりに重く、あまりに残酷な宿命だと僕は思う。
それでも彼女は戦う。
セーラー服を翻しながら。
孤独になると理解していながら。
孤立していくことに気づきながら。
それでも戦い続ける。
たとえ行き着く先がどうしようもない終わりだとしても、今さら歩みを止めることは許されないのだ。
これは僕と彼女の終わりへと向かう物語。
今ここで断言しよう。この物語にハッピーエンドは存在しない。
だってこの世界は既に、救いようのない終わりを迎えているのだから。
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