第1章

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「 意外と静かですね。もっと音楽とか流れてるモノかと… 」 歩きながら、高橋さんがふと聞いてくる 「 店の中でなら流れてるでしょうけどね。」 「 そっか。」 「 …映画やドラマみたいにはいかないかな?」 「 え? 」 「 ここで偶然音楽が流れてきて、高橋さんの歌が聴けたらなんて… 」 「 んー、そう上手くはいかないかな?」 「 ですよね。でも良いか。今日3回も聴かせてもらったし。 リハーサルに、外でと、本番と…。 楽しかった。ゾクゾクしました。 「 …… 」 こんな事言われ慣れてるんでしょけど。一瞬で周りの雰囲気を変えちゃうあなたの歌が好きです。」 「 だから、今は目の前の素直な反応をもう少し受け入れてくれたらって思います。」 「 …… 」 私の言葉は宙に浮いたまま、気が付くとホテルの前だった 「 …着いちゃいましたね。」 彼の言葉に 「 そうですね。」 呟いてみると、歩道とホテルとの境界線に立つ石作りの塀に凭れた彼が 「 どんな曲が好きですか?」 突然聞いてきた 「 え?」 不思議がる私に、次々と曲名を挙げてくる高橋さん あるバラードナンバーの名が出た時、 「 あ、それ好きです。」 と言ってみると、彼はコチラを見て1度目を瞑ると 「 じゃあ 」 短く呟き、そのナンバーを歌い出す
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