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「 通訳してくださる井上敦子さんだ。」
「 井上です。宜しくお願いします。」
岩永さんに紹介されて、お辞儀すると
「 お願いします。」
と低音の重なりが聞こえてくる。
「 もしかして、テレビのニュースでレポートされてる方じゃないですか?」
葛西という人に問われる
「 あ、そうなんです。普段は政治関係の取材してるんです。今日は不慣れでご迷惑お掛けするかもしれませんが… 」
「 そんな、俺達もこんな大掛かりな事初めてなんでお互い様ですよ。なぁ?」
私の応えに葛西さんがそう言うと、他の2人が笑顔で頷いてくれる
「 圭吾、通訳がどうしてもいるって言ってたのはお前なんだから。お前もちゃんとお礼言えよ。」
葛西さんに促され、高橋と言う人はさっきよりもコチラに少し近付いてくる
黒髪のサイドと襟足を短く刈り上げ、アレンジでトップとバックにボリュームをもたせフロントは右側に流すスタイルの髪型に、赤のインナーに白地の裾にグレーのグラデーションが入ったジャケットに黒のボトムスを身に着けている
「 急に無理言ってすみません。」
正直、近寄られた時は緊張したのに、話されると妙な安堵感が生まれる
「 あ、いえ。」
私が言うと、高橋さんに不意に耳元に手を伸ばされる
「 ピアス、髪が引っ掛かってる。」
「 え? あ、有難う。」
今日は、縁に細かい細工が施されたゆれるタイプのモノを付けていた
それが、お辞儀をした時に髪が細工の部分に絡まってしまっていた
取って貰うと妙な沈黙が流れる
この沈黙をどうにかしないといけないかと思った所に、リハーサルを再開する旨が伝えられた
機材などが運ばれてるフィールドトラックへとメンバーと向かった
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