第1章

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「 通訳してくださる井上敦子さんだ。」 「 井上です。宜しくお願いします。」 岩永さんに紹介されて、お辞儀すると 「 お願いします。」 と低音の重なりが聞こえてくる。 「 もしかして、テレビのニュースでレポートされてる方じゃないですか?」 葛西という人に問われる 「 あ、そうなんです。普段は政治関係の取材してるんです。今日は不慣れでご迷惑お掛けするかもしれませんが… 」 「 そんな、俺達もこんな大掛かりな事初めてなんでお互い様ですよ。なぁ?」 私の応えに葛西さんがそう言うと、他の2人が笑顔で頷いてくれる 「 圭吾、通訳がどうしてもいるって言ってたのはお前なんだから。お前もちゃんとお礼言えよ。」 葛西さんに促され、高橋と言う人はさっきよりもコチラに少し近付いてくる 黒髪のサイドと襟足を短く刈り上げ、アレンジでトップとバックにボリュームをもたせフロントは右側に流すスタイルの髪型に、赤のインナーに白地の裾にグレーのグラデーションが入ったジャケットに黒のボトムスを身に着けている 「 急に無理言ってすみません。」 正直、近寄られた時は緊張したのに、話されると妙な安堵感が生まれる 「 あ、いえ。」 私が言うと、高橋さんに不意に耳元に手を伸ばされる 「 ピアス、髪が引っ掛かってる。」 「 え? あ、有難う。」 今日は、縁に細かい細工が施されたゆれるタイプのモノを付けていた それが、お辞儀をした時に髪が細工の部分に絡まってしまっていた 取って貰うと妙な沈黙が流れる この沈黙をどうにかしないといけないかと思った所に、リハーサルを再開する旨が伝えられた 機材などが運ばれてるフィールドトラックへとメンバーと向かった
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