第1章

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日本とのコンタクトを取りながら、スタッフが走り回る すでにスタンバイ済みのメンバーは、スタッフからの合図を待っている やがて合図が送られると、日本側の出演者と高橋さんが短い会話を交わして演奏が始まる 力強いドラムと重いベースの音 ギターのカッティング 時折り笑顔を見せながら、何かに挑むような印象を持たせる伸びやかなボーカル メンバーの目の前をカメラが世話しなく動き回る 流れてる映像は観れないが、上部からのシーンも織り込まれているだろう 高橋さんがもう一度笑顔を魅せると、スタッフの間にも笑顔が広がっていく やがて演奏が終わる 一時の静寂が有ってから、周りで拍手と賛辞の声が上がる 日本との中継が終わった事が伝わると、まず目の前のカメラマンが高橋さんとお互いに顔の位置まで挙げた右腕を組む すると、続々とメンバーの周りにスタッフが集まり労っていく その姿を見て、なぜか自分が誉められたかのような感覚に成り、擽ったさが胸いっぱいに広がっていた 全てを撤収した閑散としたスタジアムを観ていると、岩永さんに呼ばれメンバー達との食事に誘われた 同行したレストランは、偶然にも私がよく利用する店だった そこで、メンバーが知り合うキッカケになった高校時代の話や私がこれまで行った国の話をしながら食事をした そして、明日この国を発つという皆を彼らが希望する場所へと案内する為にレストランを出た
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