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歩き続けながら聞いてみる
「 高橋さんは、どうして音楽だったんですか?」
「 ……自分に出来るって一番最初に勘違いしたのが音楽だったんです。」
「 勘違いって。あんなに、沢山の人が誉めてたんだから勘違いじゃないですよ。」
「 まだ始まったばかりだから、勘違いくらいでいいんですよ。ただ、目の前で素直な反応を見せて貰えるのは有難いですけどね。」
「 厳しいんですね。」
「 前はもっと甘かったと思います。厳しい所にいるから、そっちに流されたのかな? …井上さんは?」
「 えっ?」
「 なんでその仕事を?」
「 ちょっと子供っぽくて恥ずかしいけど、親への反発が大きな理由だと思います。」
「 へぇ。」
高橋さんはそう言うと、ちらっとこちらを見た
「 一人娘で、何れは親の面倒を見る。それを当然だと思うけど、どこかで受け入れられない所が有って。思いっきり離れられる仕事を秘かに探してた。」
「 それで?」
「 えぇ。子供でしょう? だからそれを見透かされたのか、親にジャーナリストになって、海外の事情も取材したいって言ったら、あっさり 良いよって突き放されて…。お陰で好きな事させて貰ってるけどね。」
「 今、楽しそうっすね。」
「 そうですね。やっぱり、トップに立つ人やその人をサポート出来る人って、瞬時にコチラの気持ちを組んでくる。それを肌で感じると、人って奥深いなって思うんですよね。」
「 俺には、出来ないかな。」
「 …高橋さんが思う事を、思う形で表現すれば良いんじゃ?なんて偉そうですね。 でも、それだけの力が有ると思います。」
「 …どうなんですかね。」
「 素人の意見じゃダメですか?」
「 そんな事ないですよ。」
「 ダメ、みたいですね。」
「 ハハ。でも、有難うございます。」
夜の街を二人でゆっくりと歩く
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