952人が本棚に入れています
本棚に追加
ラムセス様の心の中はきっと不安だらけだろう。
こうしてネフェルタリ様とお会いになるのも、心の安らぎを得るため。
「ラムセス様。わたくしは、ラムセス様のご心痛は計り知れませぬ。申し訳ございません。」
「…そうだろうな。謝らずともよい。」
「はい。…ラムセス様はそのままのラムセス様で良いかと存じます。」
「どういうことだ?」
「力もファラオには必要でしょう。強き力は弱き者を征していける。
しかし、上に立つものはそれだけでは長続きしないと思います。」
「……続けよ。」
「…人は人の心に惹かれるものでございます。あなた様のお持ちになる愛情こそ、民には必要なのです。」
「…心に…」
「他国には強き力が必要でしょう。しかし、民には愛情が必要なのです。
必要とあらば、あなた様は行動されるお方。必ずや、良きファラオに即位されます。」
「そう思ってくれるか?」
「はい。
知略はそちらのカエムワセトが。軍事攻略は軍の4師団が。殿(シンガリ)に控えるは、才知行動に長けたラムセス様が執り行うでしょう。
軍事に関してエジプトは安泰ですね。」
「……………」
「国民の心は王妃様にご指導願いませ。あなた様の妃になられるお方は、あなた様の愛を一心に受けられるでしょう。
そこから民へ注ぐ愛情を学び、心に惹かれる治世を治めれば良いのです。
……出過ぎた物の言い方、ご無礼をお許しくださいませ。」
最初のコメントを投稿しよう!