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すると、ラムセス様がクスクス笑い出して、とうとう涙を流された。 「ら…ラムセス様!なぜ笑うのです!」 「本当に鈍感な奴だ。」 私の隣にいるカエムワセト様も笑っていて。 私もつられて笑ってしまった。 「みんなまで!…もう!」 「悪い。…まったく呆れた娘だ。」 「なっ!…もういいですわ。ムトナ!帰りましょう。」 「待てよ。話はまだ。座って。」 「……何でしょう。」 「俺は、俺の理想があるんだ。 今のエジプトは荒れている。豪遊するだけの無能なファラオだったジジイどもが最悪な爪痕を残して消えた。 父上が頑張っているが…まだまだだろう。 …俺は俺の生まれ育った祖国を豊かにさせ、そして屈強な国にしたい。」 「……はい。」 「そのために必要な人材は、俺の手元で俺が育てた。残るは妃のみ。」 「……はい。」 「俺を支え、時には国まで支えられるような賢い女。それを求めてきた。」 「……はい。」 「ネフェルタリ。俺の妃になってくれぬか。」 「………………はい!?」 「お前が言った愛情は、俺がお前にやるから。お前は俺に愛情を教えてくれ。」 「ら…ラムセス様…?」 「お前は俺の妃だ。ネフェルタリ。よいな。」 ナイルのほとり、穏やかな時間だった。
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