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「だったら今から何もない空間にして優しいお兄さんになってあげようか?」
相変わらず投げやりに言われる。
「心から遠慮します」
赤い紙のプレゼントをお断りした時の友人を真似て意思表示してみる。
「一体何がしたいのよ!?わたしにどうしろって言うの!?」
神様がご乱心のようだ。下界では天災でも起こっているのだろうか。
「俺の言動の8割は冗談とその場のノリだ。深く考えたら負けだ」
恨めしそうに見上げてくるのでアドバイスを贈ってあげた。
「そうだ、俺の名前適当になんか付けてくれないか?」
「それは8割と2割どっち?」
「8割」
「冗談とノリの方かよ」
膝をついて床を叩き続ける幼女は見ていてなかなか楽しいものだと初めて気付いた。
「よし、タロウ・ヤマダでどう」
「結城紅葉だ。よろしく」
数秒考え、真剣な表情で言われたので「どう」の「う」の音が聞こえたのとほぼ同時に実名暴露。
「ユーキクレハ?」
「さっきの太郎山田からすると、ファーストネームが先に来るからクレハ・ユウキだな」
「もしかしなくてもあなたの名前?」
「もしかしなくてそうだな」
「覚えてんじゃん、名前!」
「覚えてないとは一言も言ってない」
「わたしが答えた後間髪入れずに名乗ったのは?」
「そんなセンスの欠片もない名前にされるくらいなら元の名前を言った方がましだと思ったから。というか、何故山田太郎」
「あなたの住んでた国では多いんでしょ?」
「ああ、確かに至る所で見かける名前だな。だが実在するかどうかも怪しい名前だな」
「……」
耳まで真っ赤になって睨んでくる。呪い殺されそうな勢いだ。あ、成仏してるから死んでるんだっけ?
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