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「そう言えば俺は死んでるのか?ずっと疑問だったんだが」
顎に手を添え、考えながら質問してみる。
「ずっと死んでるかもしれないという考えを持ってるとは思えない言動だったんだけど?」
「さっき思い出したんだ」
「あっそう。死んでないよ。死んでたら旅行できないじゃん」
立ち上がって呆れたような視線を向けてくる。
「よくある転生フラグかと」
「転生フラグ?何それ?とにかく、死んでないよ。わたしの世界に行くにあたってそのままの肉体じゃ死んじゃうから、私の世界に適応できるように構築し直してるから今は生身じゃないけどね」
ふらりと椅子の方へ歩いて行き、座る。置いてあったピンクのティーセットで休憩とでもいうのだろうか。
「もう少しかかるし、座れば?」
デーブルを挿んだ向かい側の席を指されたので、疲れてはいないが座ることにする。
「体がないのに座るも何もないと思うんだが」
「さっきから腕組んだり挙動不審に動いてたのに今更何言ってるの?」
「盲点だった」
幼女に冷たい目を向けられると言いようのない感覚になるな。などという冗談が通じる相手が今ここに居ないことがものすごく悔やまれる。
「異世界を旅行するなんて話せば精神科に行くことをお勧めされるような趣味を持った覚えはないんだがな」
神様の向かいに腰を下ろしながら呟く。
「今から持てば大丈夫だよ」
ティーポットの中身をカップに注ぎながら何の安心も出来ない無責任な返答をしてくれた。
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