背後霊、始めました

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さてやって来ました異世界。ご覧ください、緑あふれる森の中で燃え盛る炎。草木の緑と炎の赤が、それは見事な災害を作り出しています。そんな災害のおそらく中心に居るのですが、とても熱いです。体が消滅してしまったというのに、ものすごく熱いです。 「体無くても熱さとか感じるんだな。しかもなんかベタベタするし気持ち悪い」 そう、それはあの汗で濡れた衣服が肌に張り付く不快感。額から流れる汗を腕で拭う。 ……ん?腕で拭う? 不審に思い視線を手に落とす。 「普通の人間の手だと!?」 普段から見慣れている薄っぺらい握力弱そうな自分の手ではなく、筋肉の厚みのある鍛えている手。剣ダコだろうか、先輩から修学旅行のお土産で貰った木刀で、友人とチャンバラゴッコをした時にマメが出来た所が硬くなっている。 「つまり剣と魔法のファンタジーな世界!?……いや、違う、そうじゃない。俺が今言いたいのはそんなことじゃない」 確かに俺は神様と名乗る全身ピンク色の幼女にサメにしてくれと注文した筈だ。 「何故普通の人間の手?!ヒレじゃなくて手?!確かにちょっと難しい的なことは言ってたけども!せめてサメ肌とかには出来なかったのか!?と言うかこれは俺の体で合っているのか!?明らかに他人の手なんですがこれ!」 言いながら掌を太陽にかざしてみる。わーお、真っ赤に流れる誰かの血潮だぁ。 「シーちゃん?」 「というか、さっきから視界の隅に赤いものがチラチラ見えてるんだが。距離的に自分の前髪が見切れるくらいに……って何じゃこりゃぁぁぁ!?髪の毛赤くなってるんですが!?あの幼女神みたいな赤毛なんですがぁぁぁ!?」 適当に1本抜いて見てみれば、それは見事な赤毛でした。 「……シー……ちゃん……?」 ショックで髪の色が変わるとかいうが、普通元の色が薄くなるよな?俺の地毛は黒だった筈なんだが。 「黒は薄くなると赤くなるのか……。まあ、それは置いといて、さっきから人の声が聞こえるような気が……」 声のした方、後ろを向くと服を着たピンク色のドラゴンが驚いた顔をしていました。
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