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「ピンク神の呪いぃー!?もうピンクは嫌だ!!お腹いっぱいです!!だから帰ってピンク!!異次元に帰って!!ぎゃああああああ来ないで!!来ないで下さい!!ピンクが!ピンクがあああああああおぅえぇ・・・…ゲホッ、ゲホッ・・・おえぇ……。い、一瞬、川の向こうにじいちゃんが手招きしてる姿が視えた……あ、じいちゃんまだバリバリの現役で農業してるわ。馬で牧草地帯颯爽と駆けたりしてたわ」
突然発狂した俺が心配だったのか、ドラゴンが二足歩行で慌てて近付いてきたので悲鳴を上げたらむせてしまった。ちょっと調子に乗り過ぎてしまったな。まあ、胃に納まっているものが戻って来なかったから良しとしよう。
「ふぅ…。で?誰?」
あと5歩で触れるという距離で固まっている二足歩行のピンク色のドラゴン。改めてよく見ると身長は120cmくらいだろうか。今の自分がどれくらいの高さの目線なのか分からないから確かなことは言えないが。というか小さいなドラゴンのくせに。その前に明らかに骨格が人間と同じなんだが。人の体にドラゴンの首から上くっつけた感じなんだが。
そんな人型ドラゴンに息を整えてから声を掛けたのだが、反応が無い。
「タダノシカバネノヨウダ。ああ、立ったままだし一応瞬きもしてるから、このナレーションは違うか」
乾かないのかと心配になるほど大きく目を見開いているのに瞬きの回数が異様に少ない。これが放心状態か。
「……し」
「し?」
「シーちゃんが壊れたぁぁああああ!?」
叫びながら走り去って行きます。山なんか見当たらないのにやまびこが聞こえてきます。不思議だね。
「シーちゃんって誰だぁああ!?」
燃え盛る炎なんて何のその。驚異的な速さで見えなくなるドラゴン。俺の叫びは炎の音にかき消されてしまいました。虚しいね。
「というか、熱いんですがー。脱水症状とかいうやつで死んでしまいそうなんですがー。この炎の海に飛び込んだら楽になれますかねー?」
誰にともなく問いかけます。やはり炎の音にかき消されます。悲しいね。
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