背後霊、始めました

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「死ぬ…。このままだとマジで死ぬ…。今の自分の状況とか何にも分かってないのに終わるとか……死にきれないんですがー。誰か、助けて下さいー」 炎の海の中心で悲しみを叫ぶ。勿論聞いてくれる人なんて居ません。 「ふ……。仕方ない、雨乞いでもするか…」 膝を付いて両手を高々と空へ掲げる。 「アメヨーフレー」 いかん。やる気が出ない。死ぬ間際までアホな事やって楽しく逝こうと考えてたのに、やる気が見当たらない。相方が居ないのも大きいかもしれないな。 「じいちゃん、今逝くからな…。お休み」 火災の熱で良い感じに温かい地面にうつ伏せになって目を閉じる。あ、じいちゃん生きてるや。 ジュ……。 ジュー……。 ん? 「何の音だ?」 目を閉じてすぐに聞こえてきた水分が蒸発するような音。目を開け空を見上げる。 「湖が浮いてるだと……!?」 頭上に浮かぶ大量の水の塊。魚とか普通に泳いでるんですが。あ、あれ、彼の有名なネス湖の怪獣じゃね?なんか溺れてるんですが、ネス湖の怪獣超もがいてるんですが。というかだんだん大きくなってるような気がするんですが。 「あ、落ちてきてんのか、これ」 さあ、生きるか死ぬかの滝行の始まりだ。 「この程度の勢いで、俺が屈するとでも思うぐぼがぼぼぼ」 流されました。 洗濯機でもみくちゃにされて洗われるぬいぐるみとは、こんな感じだろうか。自力じゃ考えられないくらい体がねじれてます。 体感時間にして5分、実際に経過した時間5秒。水の本流にされるがままになっていると、もう一人洗濯機にかけられていることに気付いた。赤い髪の少年だ。歳は俺と同じくらいか。白目むいてるな。なかなか整った顔が台無しだな。ざまぁ。っといかん、ついいつもの癖でイケメン滅びろとか言いそうになってしまった。あ、今心の中で言っちゃったな。 大火事の次は大洪水という自然災害にも屈せず、 堂々たる姿で立ち続ける大木に引っ掛かって止まる白目の人。赤い髪って言うと、自称神様の全身ピンク幼女が出てくるので白目の人と呼称しよう。
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