当選券、拾いました

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「さっきまで後ろに憑いていた守護霊が現れた」 ザザーッという音を立てながら進行方向に回り込んでみる。 「悪霊退散」 どこからか取り出した数珠を突き付けて、何の躊躇いもなくお祓いをされる。 「敵に回った途端悪霊呼ばわりか」 「自分に害をなす霊なら悪霊以外の何物でもないだろ?」 「確かに」 「という訳だ。さっさと成仏しろ」 数珠を付けた手であっちへ行けという様に払われる。 「そもそも死んですらいないから、どうやったら成仏できるのか見当もつかないんだが……」 考え込むように腕を組んで思案顔をする。 「成仏しかけてるくせに何言ってるんだ?」 心底不思議そうに聞いてくるので、ついに頭のネジ全部失くしたか?と思いながら口を開く。 「ちょっと待て。死んでないのに成仏出来るわけないだろ?」 驚いた顔をされたので無言で見つめる。少し冷たい目になっていた気がするが、まあ大丈夫だろう。 「自分が死んだことすら気づいていなかったのか……」 哀れむような目でこっちを見ないでもらいたい。 「全く、自分が死んだことにすら気づかない程俺は鈍感じゃない……って、なんじゃこりゃぁぁぁぁぁぁ!?」 両手を肩の高さまで上げ、やれやれという様に首を振ると、視界の端に淡く発光し、光の粒子となって天に昇っていく自分の手が。 「成仏って……こういう風にするものなのか……」 目をキラキラとさせて好奇心を隠しもせずに俺の周りをぐるぐる回って観察している友人。 「成仏してるのか?これ。マジで死んだ記憶が無いんだが?」 「俺も目の前でお前が死んだ記憶は無いな。実は今日俺に会う前にすでに死んでいた、とか」 「俺の周りは霊感強いやつばかりなのか」 「普通に会話してたしな」 暫しの沈黙。
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