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蛍光灯がついていない暗い部屋。
北側にある夜景に大都市『バベル・シティー』特有のたくさんのネオンランプが輝いている。
こんなに美しい夜景の裏、階級制による最下位の貧民と強力な超能力を持つ能力者である富豪の厳しい格差社会がバベル・シティーのどの地区でも起こっている。
壁には、バベル・シティーの地図が掲示されている。
地図にはバベル・シティーの説明書きがご丁寧に記されていた。
『バベル・シティー』
日本帝国、十二都市の一つ、昔は東京都と呼ばれていた所に造られた都市。
国際連盟により、数年前に結ばれた条約により不思議な力を身に宿す能力者の都市として統治されている。
バベル・シティーは太平洋に面している地区を中心に海外との貿易、外交の多い日本帝国一の外交都市とされている。
都市は六つの地区に分割され、だいたい第一区から第六区と住み分けされている。
地図に赤いラインで丸で囲まれている第六区の一点に、小さな赤いピンが刺さっていた。
普通に見ればピンが刺さっている一点は貿易船や貨物船、豪華客船などが停泊する湾岸の近くにある倉庫だとわかるだろう。
壁の前には机が置かれ、たくさんの書類が束になって机の上に整頓されていた。
書類の表には赤い屋根の倉庫が撮されている写真が貼り付けてあった。
部屋の窓に二人の男が立っていた。
薄暗い部屋の中で窓からこぼれ照らされるネオンランプによって二人の姿を青くうっすらと浮かび上がらせていた。
窓から見て左側の男が夜景を眺めている隣の男に顔を向けた。
左側にいる男の髪は長く鼻まで伸びる前髪でその瞳は見えなかった。
「リーダー、時間ですよ。」
「ああ、わかった。ご苦労、もう下がっていいぞ。」
答えた右側の男の声はまだ若さが残る男の声だった。
ネオンランプの光によって青く見えるがその姿は黒髪に黒い服、見たモノを凍てつくすような冷たい瞳。
下がれと言われた男はネオンランプが届かない部屋の隅にできた闇へと下がり、吸い込まれるように消えた。
「……そろそろ行くか。」
リーダーと呼ばれた若い男が机の上にあった一本のダーツを手に取った。
ダーツの鋭い先端がネオンランプの青い光を反射した。
「闇には闇を…」
男がダーツを投げた。
ダーツは赤いピンを弾き、倉庫の印に深々と突き刺さった。
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