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ザァー……………………………………ザァー……………
突残の嵐によって海の海面がざわめく。
俺の体に宿る『水』の力が外の水に共鳴しているのを感じる。
ザァー…………………………………ザァー……………
見張りが倉庫裏で雨宿りしていた。
見張りが気づく前に俺は海から上がり、見張りの死角に素早く移動し、能力で作り出したバスケットボールサイズの水球で見張りの頭を包み込んだ。
「ッ!?………モガッ、モグッ!?(息ができないっ!?)」
いきなりのできごとに驚いた見張りが空気を求めて頭を包む水に手を突っ込むが能力で作られた水は崩れることはなかった。
空気を求めて開かれた口、鼻に水が生き物のように容赦なく入り込む。
長い間もがいていた見張りはやがて動かなくなった。
俺は能力を解除した。
倉庫は実際、思っていたより大きかった。
見上げる俺にすれば、倉庫というより船を入れる造船所といったほうが正しく感じる。
倉庫の古さ的に、まさしく裏闇市の巣窟と呼ばれるのに相応しい凄みがあった。
俺は倉庫の扉に近づき、右手を後ろに引いた。
雨粒が俺の意思に反応し、能力により導かれ右掌を中心に集結する。
直径一メートルを遥かに超える大きさの水球がギュンッと一瞬で掌に収まるサイズに圧縮された。
俺はその水球を高速回転させる。
これは昔見ていたアニメの主人公が使っていたのを真似てみたものだ。
「水旋球。」
今考えついた技名を呟きながら、圧縮した水球を扉に叩きつけた。
凝縮した1㌧近くの水圧と回転による運動エネルギーが物理という暴力が扉に衝突した。
強烈な衝撃が扉を襲い、扉の回りの壁ごと吹き飛ばし倉庫の中に水飛沫が辺り一面に散った。
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