第1章

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そして今日はバレンタイン やっぱりあなたは出勤してて 売り場で笑顔の仮面をつけて 内心ふてくされている私を見つけて笑う 60円のチョコに不満だったようだから 今日は別のチョコを用意して 売り場の私に茶々を入れにやって来た あなたにそっと手渡した 小さな箱に入ったチョコをかざして 「また売れのこりか?」と笑うあなた 「リボンをつけてあげたんだから その分ありがたく思ってよ」 そう言ったらあなたは 嬉しそうに笑って 「ありがとう」と一言残し 手を振りながら去って行った そんなあなたの背中に向かって 心の中で呟く私 照れくさくって言えなかったけど そのチョコは私が徹夜で作ったの 何かのついでに口に放り込むんじゃなくて ちゃんとありがたく食べてよね だってそのチョコは 人生初の 本命チョコなんだから いつかあなたが 気づいてくれる日が来るかな 私がこっそり思い描く デパ地下ファンタジーに
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