#.02 ブザルドの兄妹

2/13
2432人が本棚に入れています
本棚に追加
/355ページ
 1  同年3日。その日の早朝、女の変死体が公共のゴミステーションから発見された。女の遺体は燃えるゴミとして分別、遺棄されていたらしい。  ――午後1時17分。  そんなことなど(つゆ)知らず、咲羅はアパートの前まで来ていた。暫くして開いたドアの隙間から想良が顔を覗かせる。 「よっ、想良。2日ぶり」 「なんだ兄さん、いきなりだね」  色褪せたジーンズに長袖のシャツという格好をした彼は、苦笑しながら言葉を返す。 「さくらも一緒か?」 「あぁ、奥にいるよ」  想良は少しばかり首を傾け、目線だけで部屋の奥を振り返る。再び視線を送り「来るなら連絡くらい」そう宣った時のこと。 「もしかして、こないだ話してた……」  2人のやり取りを見ていたナタリアが後方から割って入る。  ナタリアの姿を目にした想良は、一瞬驚いた表情を窺わせていたものの「初めまして」と右手を差し出す。 「初めまして」  
/355ページ

最初のコメントを投稿しよう!