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同年3日。その日の早朝、女の変死体が公共のゴミステーションから発見された。女の遺体は燃えるゴミとして分別、遺棄されていたらしい。
――午後1時17分。
そんなことなど露知らず、咲羅はアパートの前まで来ていた。暫くして開いたドアの隙間から想良が顔を覗かせる。
「よっ、想良。2日ぶり」
「なんだ兄さん、いきなりだね」
色褪せたジーンズに長袖のシャツという格好をした彼は、苦笑しながら言葉を返す。
「さくらも一緒か?」
「あぁ、奥にいるよ」
想良は少しばかり首を傾け、目線だけで部屋の奥を振り返る。再び視線を送り「来るなら連絡くらい」そう宣った時のこと。
「もしかして、こないだ話してた……」
2人のやり取りを見ていたナタリアが後方から割って入る。
ナタリアの姿を目にした想良は、一瞬驚いた表情を窺わせていたものの「初めまして」と右手を差し出す。
「初めまして」
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