#.18 新世界より

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   深く長い溜め息と共に煙を体外へ吐き出す。すると、傍らで一連のやり取りを聞いていた咲羅が口元に微笑を湛え言う。 「なんか楽しそうな人だな」  自分は関係ないとでも思っているのか。否、瞬矢はしたり顔で咲羅に向かいこう言った。 「お袋に会えば、お前だって『(さく)ちゃん』とか呼ばれるぞ」  あの母親のことだ、咲羅のことを絶対にそう呼ぶに違いない。瞬矢にはその時の光景がありありと想像できた。 「それは……確かにきついな」  一瞬間を置き、自分が咲ちゃんと呼ばれることを想像したのか、今度は苦笑混じりに溢す。この歳で咲ちゃんは、さすがにきつい。 「じゃあ、僕はせっちゃんだね」  突如聞こえてきた声に再び正面の廊下を向くと、いつからいたのか、そこには刹那、そしてリンの姿があった。どうやら墓参りから戻ったらしい。 「お前、普通それ自分で言うか? つか、いつの間に帰って来てたんだよ」  瞬矢の突っ込み半分な投げかけに、彼は唇に弧を描き答える。  
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