第七章

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当たり障りない話をしながら、杯をすすめる。 世間話も一区切りついたところで、清田社長の携帯が鳴った。 「ちょっと、失礼します」 意味ありげな、笑みを娘に向けながら、部屋を出てゆく。 あとに残ったのは、重い空気。 そう、思っているのは、オレだけか… ついでくれるというのを、丁重にお断りして、手酌で琥珀色の液体を注ぐ。 「康平さんは、恋人いるんですかぁ~?」 口紅と同じ色の真っ赤なマニキュアが、グラスをつかむ。 清田社長が出ていってから、開口一番、その話題かよ…
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