第八章

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化粧が厚いその人は、真っ赤なルージュを歪ませながら、私を睨み付けている。 爪の先から、頭のてっぺんまで、舐めるように、見つめながら… 「座りなさいよ」 横柄な態度で足を組む。 「はぁ…」 はい、と、いう返事ではないのは、 なんで、知らない人から、睨み付けられなければいけないのだろう…という、反抗心。 黙って、腰をおろすと、また、挑戦的な目。 「あたし、清田蘭子【キヨタ ランコ】 康平さんの婚約者なの」
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