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「夢よ…」
苦し紛れに言った私。
コウの目が、まだ、ぼーっとしていたから、もしかすると通用するかも…?
安易にそう思った。
「夢なわけあるかよ!!」
いきなり、上半身を起こして、親指で私の目尻を、すーっと撫でた。
「あっ…」
気づかぬうちに、私は涙を流していた。
コウのこんな姿を見るのが初めてだから、動揺したのかもしれない。
私の涙を拭い終わると、指を滑らして、後頭部に手を置いた。
そのまま、ぐいっと、押されて。
着地点は、コウの胸。
トクトクトク…
少し、速い心臓の音。
リアルに聞こえるのは、二人の距離が近すぎるから。
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