第九章

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なかなか口を割らない、末次さん。 まぁ、一筋縄でいかないと、分かっていたけど。 「会わせてもらえませんか? 綾に… 話さなくてもいい、遠くから眺めるだけでも、いいから…」 懇願して、膝を床につける。 なりふりかまってられない。 綾に会えるなら、格好悪いことだって、なんだって出来る。 「お願いします、末次さん」 いわゆる、土下座。 社長室の絨毯に沈む、手のひら。 何やってんだろうな、オレ。 けれど、もう、これぐらいしか、方法がない。 普通にやりとりしても、らちがあかない。 それだけ、末次さんは、うわてということだ。
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