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末次さんは、スーツのポケットからスマホを取り出すと、タップし始める。
「社長は、黙っておいてくださいね」
しっー
と、人差し指を唇の真ん中に立てている。
「もしもし、末次です。
今、よろしいでしょうか?」
相手は誰?
なぜ、オレの目の前で電話?
普通だったら、そんなことをしない末次さんに、違和感を感じる。
「今週、会えませんか?」
おいおい…
デートの誘いなら、仕事終わってからにしろよ。
あきれたオレの耳に信じられない言葉が、飛び込んでくる。
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