第九章

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「週刊誌に掲載されたことは、不覚のいたすところです。 私がもっと、気がついていれば…」 悔しさを滲ませる。 「心配なさらなくても、大丈夫ですよ。 社長は、あなたしか、見えてないし。 一途なんですよ、あの方は」 「…小切手まで、用意して、別れさせようとしていたあなたがなぜ、そこまで言うのか… 私には、分かりません」 手のひらを返したような、末次さんの態度に驚いているようだった。 「また、倒れられては、困りますから」 「は?」 「社長は、あなたと別れてから、仕事ばかりで… あのままでは、今度は過労だけでは済まない気がするのです」
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