第九章

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「末次さん、鷹野社長が笑ってられるように。 そばで、見守っていてください 」 よろしくお願いいたします、立って深々とお辞儀をしたようだった。 「徳永さん? あなたがそばに…」 末次さんの言葉を遮る彼女。 「仕事で、フランスに行くんです。 いつ、帰ってくるか分かりません」 きっぱり言い切る声に、迷いはなかった。 フランス…? 彼女の本当の気持ちを知ったのに… 自分がすべきことも分かったのに。 なんで、フランス? 「いつ、旅立つのですか?」 「明日です。 では、失礼します」 そう言って、彼女は、カフェから、出て行った。
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