第十章

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なんのために、呼び出されたのか、よく分からなかった。 『社長の容態を教える…』 そういうわりには、私の本当の気持ちを知りたい、など… 確かに、容態は、ただの過労で、今はもう、退院して会社に戻っていると教えてもらったんだけど。 「コウの、鷹野社長のそばで、彼を支えてください」 「あなたが支えてあげれば…」 好きだから、そばにいられたら…って、何度思ったか。 生まれが良ければ… そう、考えたところで、何も出来ない。 私に出来ることは… コウの幸せを祈ることと、私自身、前を向いて歩いてゆくこと。 「フランスに行くので、コウのこと、よろしくお願いいたします」
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