第十章

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ぎゅっと、抱き締められたと思ったら、耳元で、囁かれた。 「えっ?」 ただただ、驚きで、目を見張るばかり。 『帰ってきたら、結婚しよう。 だから、オレのところに帰ってきて』 ぷ、プロポーズ!? 「本気だから」 腕の中から、見上げた彼の顔は、少し、赤くなっていたようだ。 「さぁ、いってらっしゃい」 抱き締められた腕を、名残惜しそうにほどくと、背中をゆっくりと、押してくる。 彼の優しさが、胸に込み上げてくる。 「いって…き…ます」 つまりながら、言った一言は、彼には分かったはず。
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