第十章

22/46
前へ
/293ページ
次へ
プロポーズも、一時の気の迷いでは、なかったのだろうか? そう、思うようになっていた。 心の奥底に、コウとは、釣り合わないと、いう惨めな言い訳があった。 彼との未来が、どうしても、描けなかった… 社長としての彼を支える…そんな、自分の姿が。 ついつい目に入ってしまう、左手の薬指。 見ると、自然にため息がこぼれてしまう。 誕生石のルビーが真ん中にあり、その回りをダイヤがぐるりと囲んである。 ジュエリーに詳しくない私でも、高価なものだということは、分かる。 指から外したそれを、チェーンに 通した。
/293ページ

最初のコメントを投稿しよう!

180人が本棚に入れています
本棚に追加