第十章

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「それにしても、驚いた。 コウがフランス語を話せるなんて…」 マスターたちが、厨房のほうへ、向かうと、二人の時間が戻ってくる。 「それなりに、勉強したから。 でも、すぐに活用する機会に恵まれるとは、思わなかったケド」 ははは なんでもないことのように、答える彼。 ここに、来るため、 私に会うために、勉強したと言っても過言では、ないだろう。 ただでさえ、仕事が忙しいのに、そんなことまでして… いたたまれなくなって、彼を見つめる。 「そんな顔をさせるために、努力したんじゃないよ。 綾に会いたかった… ただ、それだけだから」 私の心が読めたんだろうか? コウは、笑ってそう言った
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