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「社長…」
遠慮がちにノックする音…
「どうぞ」
顔も上げずに、返事をする。
この案件をもう少し、詰めておかないと…
「社長…もうそろそろ帰られたほうが…」
「あ…」
左手首に目をやると、もうすぐ日付が変わろうとしていた。
親父の秘書だった末次 誠【スエツグ マコト】さん。
今は、オレの秘書になってもらっている。
一見、冷徹に見える細い銀縁眼鏡。
なでつけられた黒髪。
若いのに
有能な秘書…
オレより、2歳
年上の32歳。
出来る人…
いきなりの社長業に戸惑うことばかりだったのに、末次さんのおかげで、なんとか、こなせるようになってきた。
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