第四章

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「いえ、受け取る理由が、ないからです」 「えっ?」 ふふっ 末次さんが驚いている。 仮面のような表情が 、驚きで崩れた。 「受け取る理由がないって… この意味が分かってないのでは?」 末次さんがまた、小切手を押し返す。 「社長は、しかるべき令嬢とご結婚されます」 眼鏡のフレームを中指で、押し上げた。 「えぇ。私もそう思います」 そう言って、私は微笑んだ。 末次さんの言うことは、もっともだし、秘書として当然だろう。 大会社の社長なら、付き合う相手も考えないといけない。 結婚するとしたら、メリットを重んじるだろうし。 分かってる… 私は、コウとは、釣り合わない… 痛いほど、分かっている… だから、こう言うんだ…
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