180人が本棚に入れています
本棚に追加
/293ページ
「いえ、受け取る理由が、ないからです」
「えっ?」
ふふっ
末次さんが驚いている。
仮面のような表情が
、驚きで崩れた。
「受け取る理由がないって…
この意味が分かってないのでは?」
末次さんがまた、小切手を押し返す。
「社長は、しかるべき令嬢とご結婚されます」
眼鏡のフレームを中指で、押し上げた。
「えぇ。私もそう思います」
そう言って、私は微笑んだ。
末次さんの言うことは、もっともだし、秘書として当然だろう。
大会社の社長なら、付き合う相手も考えないといけない。
結婚するとしたら、メリットを重んじるだろうし。
分かってる…
私は、コウとは、釣り合わない…
痛いほど、分かっている…
だから、こう言うんだ…
最初のコメントを投稿しよう!